『ニトの怠惰な異世界症候群』の基本情報
原作:蒸留ロメロ/作画:まえはた 掲載紙:MFC/KADOKAWA
『ニトの怠惰な異世界症候群~最弱職<ヒーラー>なのに最強はチートですか?~』はWeb小説「小説家になろう」が原作で、その後「カクヨム」へ移籍し、小説版は全316話で完結済み。
ちなみに「なろう」の記事が削除されたため、打ち切りの噂も出てしまったようです。
コミカライズ版は2025年3月時点で7巻まで刊行されています。
個人的に、異世界作品の中で”最も推せる作品”のひとつです!
本記事では『ニトの怠惰な異世界症候群』のコミカライズ版について、あらすじや登場人物、作品の魅力について紹介していきます。
『ニトの怠惰な異世界症候群』1巻のあらすじ
クラスメイトたちが高いスキルと上級職を授かる中、政宗だけが「最弱職のヒーラー」だったため迷宮へと転送されてしまう。しかし、政宗はそこで「復讐神の秘薬」により最強のスキルを手にするのだった。
”ニト”こと政宗の復讐の旅が始まる!
主要な登場人物

【日高 政宗】(ニト)
本編の主人公。高校に入学してからの2年間、虐めに遭っていた。
政宗は”虐めの現場に無関係な者はいない”という「四層構造」(傍観者、観衆、加害者、被害者)という考え方に対して「現実は、みんな”自分には関係ない”と思っている」と捉えていた。
そして政宗は校舎の屋上から飛び降りて自ら命を絶った(※)のだが、直後にクラスメイトと共に異世界・グレイベルク王国に”勇者召喚”されてしまう。
(※)このため政宗の称号は「勇者」ではなく「転生者」となっている。
それまでのクラスでの虐めと、転生してもなお続く理不尽な扱いが怒りの感情を呼び起こし、政宗はその場にいた全員に復讐すると宣言するのだった。
そして政宗が送られた先は、強力な魔物が蔓延る迷宮だった。政宗はそこで謎の声の導きにより”最強のスキル”を手に入れる。
迷宮脱出後、政宗は「ニト」と名乗るのだが、これは召喚後に佐伯から「ヒーラーの方がニートよりマシだろ」と言われたことによるもの。政宗がクラスメイトたちに復讐する際、そのニートにこ◯される屈辱を与えるためである。

【佐伯】
政宗にはいわゆる”使いパシリ”的なことをやらせていたが、命令する訳ではなくあくまで友人のように振る舞うなど狡猾で、召喚後は政宗の職業が「ヒーラー」であったことから彼を徹底的に蔑むなど、非常に酷薄な性格。
木田という男子生徒とつるんでいる。

【一条】
政宗の職業「ヒーラー」を馬鹿にした佐伯を嗜めるなど正義感が強いが、政宗は彼のそうした面を嫌っている。

【河内】
政宗に対する虐めについて佐伯たちに意見していた女生徒だが、政宗は彼女の介入が佐伯の怒りを助長するため、彼女を嫌っている。

【アリエス】
”勇者召喚”は魔族に対抗するために王族が行ったもので、アリエスによると「召喚には多大な犠牲(人命)を伴う」という。そのため、政宗の職業が最弱職の「ヒーラー」だったことに激昂し、彼を”別の場所”へ転移させた(※)。
(※)転移先はランダムで予測不能のため、政宗が迷宮に送られたのはあくまで結果としてそうなったもの。
ただ、他の転移先もひどい場所であることは容易に想像できる。

【シャオーン】
政宗が迷宮で遭遇したレベル916の強者。「蛇の王」の異名を持つ。迷宮で人間に会うのは150年振りとのこと。ズーリという”単眼コウモリ”のような相棒がいたが、政宗に瞬殺された。
政宗と戦い、序盤は圧倒するが最後は敗北。政宗から「復讐神」について聞かれると態度が軟化し、彼に「素性を隠せ」と的確なアドバイスを与え、「蛇剣キルギルス」を遺した。
迷宮のボスのような存在感だが、謎の多いキャラである。
なお政宗は最初、シャオーンに「ニート」と名乗ったが、シャオーンは「ニト」と呼んだ。このことで、政宗は以後「ニト」と名乗るようになった。

【ジーク・ラテュール・バッハ】
世界の安寧を目的とした組織「龍の心臓」の一員。 職業は「龍騎士」でレベルは48。
近隣の公爵領を襲撃後、迷宮を出た直後の政宗と出くわし、口封じのために政宗を襲撃。しかし政宗に完敗し、その強さを認めて仲間になって欲しいと提案した。
「龍の心臓」は全員で4人と少なく、政宗と戦った際にはアルフォードとエリザという仲間と同行していた。

【シエラ・エカルラート】
王都ラズハウセンの王直轄部隊「白王騎士団」の一員。職業は「上級騎士」でレベルは32。
迷宮を出た政宗がモンスターに遭遇した際に偶然居合わせ、彼の実力を知らないため助けに入った。そしてラズハウセンを目指す政宗と同行することになる。
政宗から見た印象は「異世界のヒロイン」と「引くほどポジティブ」(笑)。

【ウィリアム・ベクター】
様々な国に顔が利く大商人で、物腰は柔らか。ケイズという御者兼護衛を連れている。
たまたま白王騎士のシエラと知り合い、馬車の護衛と引き換えに王都まで同行していた。
シエラが政宗を助けた(形になった)ことで、政宗をラズハウセンへ送ることになる。
『ニトの怠惰な異世界症候群』の魅力について
”共感性が高い復讐劇”であること
政宗の”凄まじい復讐心”が作品の軸であり、またそうなるまでの経緯に説得力があります。
こうした背景があって、政宗は”別の場所”へ送られる際、その場にいた全員に「必ずこ◯してやる」と宣言したのでした。
1巻はまだ序章に過ぎず、迷宮で強力なスキルを手に入れた政宗が今後どのような復讐劇を見せてくれるのか、今後のストーリー展開に期待感が高まります。
工夫されたスキル設定に注目
復讐劇という土台に加え、工夫されたスキルの設定や、それを使った戦闘描写が作品の魅力を高めています。
政宗は迷宮に送られた後、液体の入った小瓶を発見。すると「力が欲しいなら飲め」という謎の声が聞こえます。政宗はチャンスかも知れないと思い、賭けに出てその液体「復讐神の秘薬」を飲むのでした。結果、政宗の能力は著しくレベルアップすることになります。
「復讐神の秘薬」により、元々政宗が持っていた固有スキル「女神の加護」に加えて
「復讐神の悪戯」が生まれ、これには
「反転の悪戯【極】」が含まれます。
この「反転の悪戯【極】」により、政宗の魔術「治癒」は
「侵蝕の波動」(ディスパレイズ・オーラ)
という攻撃魔法に”反転”するのですが、これが実に強力で、迷宮の高レベルの魔物たちを次々と倒していきます。その描写にも注目です。
スキルの特性などについて、設定がよく練られていると感じます。
さらに「女神の加護」は、戦利品として倒した相手のスキルや装備品などを得ることが可能。
こうして迷宮のモンスターを倒し続けてレベルを上げていった政宗は、最終的にレベル916の「蛇の王・シャオーン」さえ倒してしまいます。
当初レベル1だった政宗は、シャオーンを倒した時点でレベル697となったのですが、クラスメイトたちの現在のレベルを知らない政宗は、これが人間としては異常な数値であることが分からないのでした。
キャラ名 | レベル |
シャオーン | 916 |
政宗(ニト) | 1 ➡︎ 697 |
ジーク | 48 |
シエラ | 32 |
一条 | 1 ➡︎ ? |
佐伯 | 1 ➡︎ ? |
ちなみに召喚されたクラスメイトの中で「十分な魔力を持ち魔法が使える」のは一条だけで、佐伯たちは魔力が足りないため魔法が使えないという状況。
1巻以降で彼らが成長できるのか、その点にも注目です。
すでに無双状態の政宗
政宗は迷宮から突然地上へ出る形で脱出。そこには偶然「龍の心臓」の3人がいました。
会話を聞かれたと思ったジークは口封じのために政宗を襲撃。しかし政宗はこれを退け、ジークは降参するのですが、政宗の強さを認めたジークは強引に”手合わせ”を挑みます。
そしてジークが仕掛けた魔術「火炎の鉄槌」(ディボルケード)は政宗の「術式分解」(ソウル・ブレイク)により無効化されるのでした。
その際のジークの感想は「化け物か」というもので、政宗の魔術がいかに飛び抜けたものなのかが分かります。
”強い仲間”を探していたジークは、政宗に仲間になって欲しいと提案。政宗からはやんわりと断られますが、連絡手段として”魔力で会話できる指輪”を政宗に渡すのでした。
まとめ
『ニトの怠惰な異世界症候群』1巻の感想と紹介でした。
主人公の”ニト”こと政宗は生前虐めに遭い、転生後も与えられた職業は不遇なヒーラーで、さらには転移(追放)という理不尽な扱いを受けます。
強烈な復讐心を宿した彼は迷宮で強力なスキルを手に入れ、これから復讐の旅が始まる、というところで1巻は終わりました。
2巻以降も、まえはた先生の卓越した表現力によって政宗の圧倒的な力が描写されており、本当に見応えがあって痺れるシーンが目白押しです!
また、政宗の復讐の行方も気になりますが、「復讐神」の正体や今後の「龍の心臓」との絡みなど、2巻以降も読者を飽きさせない展開が待っています!
とにかく面白い、筆者イチ推しの異世界作品です。未読の方は、ぜひ一度読んでみてください!
この記事はここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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