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『悪役令嬢の兄に転生しました』2巻|カインは王太子ルートを潰すために奮闘する

『悪役令嬢の兄2』アイキャッチ 悪役令嬢の兄に転生しました
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『悪役令嬢の兄に転生しました』2巻|バッドエンド回避のために保険をかけまくるカイン

【出典】『悪役令嬢の兄に転生しました』
原作:内河弘児 作画:よしまつめつ / 掲載紙:ヤングチャンピオン・秋田書店
カインは攻略対象のひとりである王太子・アルンディラーノが親の愛情を求めていることに気づき、バッドエンドを避けるための行動に出ます。
ということで2巻はカインの「王太子ルート潰し」がメインです。

この巻のポイントは、攻略対象たちが「心の闇」を抱えてしまう原因にカインが気づいた点だと思います。その原因とは「家庭環境」です。
そしてカインは王太子が多忙な両親と過ごす時間を作ろうと試みるのでした。

1 2巻のあらすじ

ゲームの攻略対象である王太子アルンディラーノ(以下「アル」)は王宮の催事でディアーナに怪我をさせ、カインは激怒。その後仲直りのためのお茶会が設けられ、ここでカインはまだ幼い王太子アルに懐かれることになる。それからカインは何かと王太子の面倒を見ることになるのだった。
一方、イルヴァレーノ(以下「イル」)がかつて所属していた暗殺組織に不穏な動きがあり、それを知ったカインはイルと共にアジトへと向かう。
悪役令嬢の兄に転生しました【電子単行本】 2巻

2 登場人物紹介

メインキャラたち

カイン

【カイン・エルグランダーク】

本編の主人公で中身アラサーの転生者。妹のディアーナを溺愛している。
乙女ゲーム「アンリミテッド魔法学園」(通称”ド魔学”)の中に転生したことを自覚しており、バッドエンドを回避するために奮闘している。

ディアーナ

【ディアーナ】

乙女ゲームの悪役令嬢。どの分岐でもバッドエンドを迎えてしまう悲惨なキャラ。
現在4歳で、今のところは兄カインの努力により良い子に育っている。

イルヴァレーノ

【イルヴァレーノ】

乙女ゲームの暗殺者。このルートでは「皆ご◯し」と言う最悪のバッドエンドを迎える。
カインが自分の侍従として大切に扱い、信頼関係も築けたことで暗殺者ルートは潰せた模様。

アル

【アルンディラーノ】

王国の王太子で現在4歳。ゲームでは王太子ルートの攻略対象。
刺繍会でディアーナに怪我をさせてしまうが、これがきっかけでカインに懐いてしまう。

2巻の主な新キャラ

ファビアン

【ファビアン・ヴェルファディア】

近衛騎士団の副団長。聖騎士ルートの攻略対象であるクリスの父。
王太子アルの希望でカインとアルに剣術を指導することとなる。

ゲラント

【ゲラント】(クリスの兄)

クリス

【クリス】(聖騎士ルートの攻略対象)

この兄弟は2巻では回想シーンでのみ登場。本格的な登場は3巻から。

ティルノーア

【ティルノーア】

カインの家庭教師で魔法担当。かなりくだけた感じでカインやイルと接している。

セレノスタ

【セレノスタ】

孤児院の少年。手先が器用で鍛冶屋へ奉公に出ていた。
奉公先で「誰も開けられなかった道具箱の鍵」を開けたことがきっかけで暗殺組織に目をつけられてしまう。

 

3 2巻の感想と見どころ

「暗殺者ルート」は回避成功か?

王太子アルは王宮でのささやかな催事(刺繍の会)の中でディアーナに怪我をさせ、激怒したカインはアルに魔法を放とうとしたことで謹慎処分を受けていた。
カインは部屋を訪れたイルに「妹を守りたいだけ」「でも自分がやっていることが未来に繋がっているのか分からない」とこぼす。

落ち込むカインにイルは「力が足りないなら手を貸す」と言います。ゲームでは心を病んでいたイルが一緒に戦おうとしてくれている。
カインはこれが暗殺者ルートでの最後のイルのセリフに似ていることに気が付き、初めて未来(暗殺者ルート)を回避したという実感を得たのでした。
すでに1巻の中でイルの心は救われていたのですが、あくまでイル自身の中での話でした。
このイルの言葉・態度でカインにもそのことが分かり、自分の努力が結果に繋がったことを実感できたのです。
引用2(引用)『悪役令嬢の兄に転生しました』2巻16Pより / 成長した3人の姿(イメージ)

暗殺者ルートを回避できたことでカインがイメージした通りの未来が待っている。。。といいですね!

カイン、王太子アルに懐かれる

そして後日、仲直りの場として「お茶会」が設けられ、カインはアルに「今後、女の子に乱暴してはいけない」と諭す。これもバッドエンドを回避するための布石。アルは素直に聞くのだった。
アルはディアーナとも打ち解け、カインはアルから「”カイン兄さま”と呼んでもいいか」と聞かれる(カインは「ダメです!」と即断るw)など、お茶会は成功したと言える。
カインはそもそもアルとディアーナを会わせたくなかったのだが、カインがアルに懐かれてしまった。このことがこの先、物語にどのような影響を与えていくのか。。。

家に戻ったカインは、前世で子供の知育玩具メーカーの営業職だったことを思い返します。
「子供たちは可能性のかたまり」であり、ディアーナをはじめ、イルもアルも最初から悪役だったり心を病んでいたりしている訳ではない、とあらためて認識するのでした。

カイン、バッドエンドの根本的な原因に気づく

カインはこれまで屋敷の騎士たちから剣術を習っていたが、父の勧めで近衛騎士団から本格的な訓練を受けることになる。しかしこれは王太子アルの希望によるものだった。

訓練後、アルと昼食を共にしたカイン。ここでアルが両親と過ごす時間が少ないことを知ります。
そしてアルが「親の愛」を求めていることに気が付くのでした。
こうしてカインは王城での訓練に毎日参加して王太子と過ごすことになります。
逆にディアーナと過ごす時間は減るわけですが、「聖騎士ルート」のことを考えると近衛騎士団副団長の剣技を学べるのは有益とカインは考えます。

そしてカインはディアーナと過ごす時間の確保のため、手を回して一緒に音楽の授業を受けることになりました。ニッコニコのカインですが、ディアーナは不満そうにふくれています。

引用1(引用)『悪役令嬢の兄に転生しました』2巻57Pより / ふくれるディアーナも可愛い

ディアーナは「兄さまと一緒に勉強するとヘタクソって言われるからヤダ!」と拗ねます。
大ショックを受けるカインw。
家庭教師たちがディアーナとカインを比較するような言葉を発していたことで、ディアーナは傷ついていたのです。
カインの中身はアラサーであり、前世の記憶を持ったいわば特殊で優秀な子供。
家庭教師たちも悪気があった訳ではなく、ディアーナを見て「これが普通の子供」と思っただけなのですが、それがディアーナを傷つけることになったのです。

カインはこれらのことから、ゲームの中での攻略対象たちやディアーナが心を病んだ原因が「家庭環境」ではないかと考えます。
王太子アルも今は素直な子供ですが、親と過ごす時間が少ないことで心に闇を抱えつつあるのかも知れません。他の攻略対象キャラも様々な要因でそうなりつつある可能性も考えられます。

カインはどうしたものかと悩みます。しかし根本的な原因に気づいたことで、バッドエンド回避の大きな足がかりになりそうです。

カインも知らない魔法の存在

カインとディアーナは家庭教師のティルノーアから魔法を学んでいます。
そして治癒魔法の素質があるということでアルも魔法を学ぶことになりました。
「魔法が出来るようになる瞬間が好き」とのたまうティルノーア。
かなりマイペースで個性的な教師ですが、彼が言う「複合魔法」や「転移魔法」はゲームでは出てこなかった魔法。
今後、物語に多少なりとも影響を及ぼすものかも知れません。

カイン、王太子の世話を焼く

カインは王族の公務の中でアルが同行できそうなものを探す。そして「孤児院への慰問と視察」に目をつけた。
カインのアドバイスでアルは親へ願い出て公務への同行を許可される。そしてカインは予行演習としてイルがいた孤児院へアルを連れて行こうとする。

これもアルが両親と過ごす時間を作ることで心に闇を抱えないようにするためです。
カインは城の隠し通路を使ってアルを外へ出そうとしますが、出口でイルがファビアンに見つかっていました。結局ファビアンも同行することになります。
孤児院でアルは身分を隠して同年代の子供たちと接します。最初の内はぎこちなかったアルも次第に孤児院の子供たちと打ち解け、ホッとするカイン。

しかしそこで右足を失った少年・セレノスタの姿を見たのでした。

カイン、暗殺組織のアジトを殲滅する

カインがイルからセレノスタの事情を聞くと、それにはかつてイルがいた暗殺組織が関わっていた。奉公先で手先の器用さを発揮したセレノスタに目をつけて、自分たちの組織に引き入れようとしていたのだった。

右足を失い奉公先から孤児院へ戻されたセレノスタを組織がスカウトしていたのです。セレノスタが右足を失ったのも組織の仕業と思われます。
組織に対して激怒したカインはイルと共にアジトへと向かいます。しかしそこに王太子アルが付いてきていました。例の隠し通路を使い城を抜け出してきたのです。カインは隠し通路を教えたことを後悔しますが、もう戻っている時間はありません。セレノスタは明日にも連れて行かれるのです。
遊びに行くのだと思っているアル。カインは「悪党を退治しに行く」と告げ、アルに隠れているように言い聞かせます。

カインはアジト内で「極滅の業火」を放つ。これは石の壁を溶かすほどの威力。そしてカインは水魔法を使って水蒸気爆発を引き起こし、組織のアジトを壊滅させた。

これでセレノスタは孤児院に留まることになりました。
その後、セレノスタが作ったディアーナの髪留めにカインの母が興味を持ち、これがきっかけでセレノスタは貴族も贔屓にするアクセサリ工房で働くことになるのでした。

イルはカインの顔色が悪いことを案じて休むよう進言した後、組織との戦いでカインに人を殺させてしまったことを謝罪します。「僕がこの屋敷に来なければ」と言うイルに、カインは「何も後悔していない」と返すのでした。

やはり相手が誰であれ、人の命を奪ったという事実はカインにも堪えていたのでしょう。
この後カインに「淑女の挨拶」を披露するディアーナの可愛い様子が描写され、事件後のカインの救いにもなったようです。

カイン、行事選定役をやらされそうになる

アルが同行した公務での孤児院訪問は市井でも高い評価を受けていた。
そしてカインが事前に別の孤児院を案内していたことは宮廷庁にバレていたw。
このためカインは宮廷庁の副長官からアルが今後同行する行事(公務)について意見を聞かれるのだった。
副長官は「事前研修が必要なら引率を頼みたい」とまで言います。
ちょっと困ったカイン。自分の目的は王家やアルの評判を上げるためではなく、アルの「両親の愛情不足」を解消することであり、ディアーナの未来に影響する可能性があったから提案しただけなのです。さらに3日後には国王への謁見が待っていると言われ、カインはさらに困惑します。
自宅へ戻ったカインは父に「王家の評判を上げるためにやったことではない」と話して行事選定の件を辞退したいと申し出ます。父は了承しますが、王への謁見はするように言われるのでした。
カインもアルに情が移ってはいるのですが、あくまで目的はバッドエンドの回避であり、少しでも不安要素があればそれを取り除くことです。
いわばディアーナの未来に保険をかけまくっているようなもので、王家の評判が上がったことはあくまで副産物でしかないのです。
しかしその副産物に困惑させられているあたり、やはり物語はカイン個人の思惑通りには進まないようです。

王太子アルがカインに懐いた理由

アルには子守役がいて、それは騎士団副団長・ファビアンの母だった。
彼女はアルの遊び相手としてファビアンの息子・ゲラントとクリスの兄弟を連れてくることがあり、その中でアルは「お兄ちゃんが欲しい」と思うようになるのだった。
カインは刺繍会でアルに魔法を放とうとしました。まだ4歳のアルには恐怖だったと思いますが、アルは仲直りのお茶会でカインにすぐ懐きます。元々「兄が欲しい」と思っていたからで、カインにそれを求めたからでしょう。

刺繍会でディアーナを突き飛ばした際、兄のカインが怒って飛んできたことを「羨ましい」と感じたアル。思わず「僕もあんなお兄ちゃんが欲しい」と言うアルに、ファビアンの母は「ひとつだけ方法がありますよ」と言い、こう続けるのだった。

「ディアーナ様と結婚なさることです」

ここで2巻は終了です。

 

4 最後に

『悪役令嬢の兄に転生しました』2巻の紹介でした。

最後にファビアンの母がアルに余計なこと(?)を言います。カインの努力が水の泡になりそうな気が。。。もっとも、カインはアルとディアーナが結婚するとしても「相思相愛ならば良い」という考えですが、フラグが立ってしまった感じは拭えません。

こうしてカインの知らぬところで物語に変化が起きそうな感じです。
イルという信頼できる協力者を得たとはいえ、バッドエンドのルートを全て潰そうとするカインの道のりは険しそうですが、それだけに次巻の展開も楽しみです。

 

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悪役令嬢の兄に転生しました【電子単行本】 2巻

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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