人間とロボットが共存する社会が緻密に描かれる第2巻
『僕の妻は感情がない』2巻の見どころについて紹介します。
1 2巻のあらすじ
スーパーミーナの他にもロボットメーカーの社員・飯田とサポート役ロボットのセンジュ、ミーナがタクマのために購入したミニロボットなど新キャラも登場し、物語は展開していく。
2 2巻から登場するキャラたち
【スーパーミーナ】
ミーナシリーズの上位モデル
たまたま海水浴場でタクマたち一行と出会い、ミーナと親交を深めることになる。
外見上はほぼ人間で、笑ったり怒ったり慌てたり、時には涙を流すなど感情表現も豊か。
上位モデルだけに相当ハイスペックのはずなのだが、まだ経験や学習が追いついていないようで少し天然なところも見られる。話をしていて脱線することも多々あり、タクマに突っ込まれることもw。
主人であるリヒトのことが大好き。
【西園寺 莉人(リヒト)】
スーパーミーナの主人
小学校高学年くらい?の男子。スーパーミーナのことは家族として大事に思っている。
まだ本領を発揮できていないスーパーミーナが”何でもできる”ことを母親に分かってもらおうと一緒に海にやってきた。だが一瞬で迷子になってしまい落ち込んでいたところでミーナたちと出会った。
【飯田】
ミーナシリーズを扱うメーカーの社員
ミーナのグレードアップを受け持つが、これが初仕事。
相棒のセンジュから事前に「自分たちが機械を扱っていると思っていても、顧客にとっては紛れもない家族」と聞かされていたが実感が持てなかった模様。だがタクマとミーナの関係性を目の当たりにして顧客の感情への配慮が大切であることに気付かされた。
【センジュ】
サポート役のロボット
飯田のサポート役として共にタクマ宅を訪れた。ロボットを検査する機能を持つ。
個体年齢こそ3ヶ月ながら会社のスパコンと繋がっており、豊富な知見を持っている。
ただ飯田によると生まれたばかりの個体は「大人と幼児の頭脳が同居している」状態であり、その行動にはやや不安定さがあるという。
それでも初仕事に臨む飯田に顧客との接し方などを的確にレクチャーしており、その有能さに変わりはないようだ。
【ミマモリウスくん3号】
ミーナが購入したロボット
小型の見守り用ロボット。
ミーナがグレードアップに二週間を要するため、不在となる間の通信役としてミーナが購入した。
ミーナによると健康状態を調べるセンサーだけは一級品とのこと。「ミマモリウスくん3号」という名称だが、のちにタクマから別の名前がつけられる。
工場にいるミーナがタクマとコミュニケーションを取るためのものだったが、次第に自我のようなものを持ち始める。
3 2巻の感想と見どころ
深まる作品の世界観
1巻はタクマとミーナの日常生活が中心で、タクマの会社の上司なども登場しましたが、まだ狭い世界に限った話でした。
2巻では登場人物が増えることで作品世界が少しずつ見えてきます。単純に見れば「未来社会」であり、医療も発展を遂げたのか作中で世界最高齢の240歳!のお爺さんがテレビに出ているなど相当に科学や医療が発展した世界のようです。ちなみにこのお爺さんの妻は24歳!ということで二度びっくり!ですが、番組を見ていたタクマは特に驚いた様子もなく、この世界ではそう珍しくもないのでしょうか。。。
2巻で登場するスーパーミーナと主人のリヒトとの関係性も描かれることで、この作品世界がどのようなものか垣間見ることができます。
そしてミーナシリーズのメーカー社員の飯田とサポート役ロボットのセンジュにより「ロボットを人間に提供する会社」としての在り方が語られることで、作品世界が明らかになってきました。
ロボットは人々の生活に受け入れられ、中には家族として迎える人もいることが語られています。
(スーパーミーナによると、海外では「ロボット婚」が流行している国もあるとのこと。)
タクマとミーナの関係も、この世界ではそこまで特殊ということでもなかったわけですが、センジュによると「CLタイプ(料理限定型でミーナのこと)を擬人化している顧客はまずいない」らしく、レアなケースではあるようです。
1巻よりもタクマたちが生きる世界が語られて、世界観が深まった印象です。
スーパーミーナについて
表情豊かで外見も人間に近いスーパーミーナ。料理限定型であるミーナの上位モデルなのですが、割とドジっ子な一面もあり、身振り手振りも大げさで涙もろいなど、もうほとんど人間です。
ミーナたちとの出会いは次のように描かれています。
(※紛らわしいのでこの項ではタクマの妻ミーナを”CLミーナ”とします)
タクマは声をかけるが、彼女はミーナシリーズの上位モデルである”スーパーミーナ”で、自分の”ご主人”を見失っていた。スーパーミーナは表情豊かで身長も高く、金属部分の露出もなく人間とほぼ変わらない姿をしていた。
タクマもミーナシリーズの”ご主人”と知ると大喜びしてCLミーナに会いたがるのだが、タクマに「人とはぐれてたんじゃないの?」と返されてハッと我に返るなど思考や行動が一貫していない様子。見かねた?タクマはスーパーミーナと一緒に彼女の”ご主人”を探すことにした。
タクマはスーパーミーナと接して「想像していたのと違うな」という印象を持つ。
リヒトはスーパーミーナのことを「仕事ができる立派なロボット」と思っているが、彼の母は今のスーパーミーナに満足していないようで「人間を雇って家事を手伝わせる」と考えており、海に来て一瞬ではぐれてしまったリヒトも「やっぱりすごくないのかな」と落ち込んでしまった。
その様子を見てCLミーナが説明するのだが、スーパーミーナは
「多機能ゆえに多くの選択肢があり、その中から最適解を選ぶ難しさを常に抱えている」
ということで、経験を積む過程で選択肢に優先順位をつけていくとのこと。
つまり今のスーパーミーナはまだ成長過程にあるということだった。
スーパーミーナといえど最初から何でもこなせるわけではなく、人間と同じで学習して成長していくということでした。AIが学習して成長するような感じでしょうか。いずれリヒトがいう「すごいロボット」になるのでしょう。
またCLミーナによると、スーパーミーナは多角的で複雑な思考が得意な代わりに一点集中的な思考が苦手らしく、話があちこちに飛ぶのもそれが原因かもしれません。これは経験を積むことで解決するとのことで、逆に一点集中的思考が得意なCLミーナと頭脳を繋ぐことでスーパーミーナは学習し、またCLミーナも高度な思考が可能になるということで、お互いに協力します。
CLミーナからこの話を聞いたタクマが「互いにメリットがあるんだね」というと、CLミーナは『対等なお友達なのです』と答え、これを通信で聞いたスーパーミーナは涙します。「友達」という言葉が効いたようですが、本当に人間のようです。
ミーナが望んだグレードアップの内容は?
こうした経緯でミーナはグレードアップの機会を得るのですが、タクマにはその内容を秘密にしています。ミーナが望んだ機能とはどのようなものなのか。
2巻はミーナが工場から戻ったところで終わるため明らかではありませんが、見る限り表情は無表情のままです。これはミーナが表情豊かになることに複雑な思いを感じていたタクマへの配慮なのでしょうか。どのようなグレードアップを果たしたのか、3巻での楽しみとなります。
印象的なシーン
(引用)『僕の妻は感情がない』2巻12話より
作画:杉浦 次郎 / KADOKAWA 掲載紙:MFコミックス フラッパーシリーズ
タクマは感情を高ぶらせて「はやくやめさせろ!」と叫びます。
ここは2巻まで読み進んだ中で一番インパクトのあるシーンでした。ミーナのこの行動については読む人によって捉え方も違うかと思います。
私は飯田がタクマに「プログラムに異常があれば記憶の初期化もあり得る」と説明しているのを聞いて拒否したのか、もしくはミーナが頭部を開いて検査されているところをタクマに見られたくなかった、という理由ではないかと思いました。
いずれにしても、無言で何かを訴えるようなミーナが描かれたこのひとコマが心に残ります。
この出来事があって、飯田はタクマがミーナを家族として迎える「パートナー登録」を提示して手厚いサポートを約束します。もう工場で記憶を消去するようなことはありません。
飯田のいる会社は顧客にロボットを提供する側として最大限の配慮をしており、ここでもこの世界でのロボットの在り方が垣間見えます。
4 最後に
『僕の妻は感情がない』2巻の感想と少しの考察でした。
2巻で作品の世界が一気に深まり物語が本格的に動き出した感じで、次巻以降もより深い世界観が楽しめそうです!
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