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『鬼滅の刃』は深い世界観を持った、大人の心に刺さる作品。

『鬼滅の刃』アイキャッチ 💠青年・少年向け
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独自の死生観を持った「日本人の心の琴線に触れる作品」

【出典】『鬼滅の刃』作画:吾峠 呼世晴/集英社

 「鬼滅の刃」は、今や日本の漫画・アニメ界を代表する作品のひとつ。

 人気作になった要因として、個人的には「大人の心に刺さる」作品だから、と思っています。
 日本人の心の琴線に触れる作品、とも言えるでしょう。

 「アニメや映画は観たけど原作のマンガは読んでいない」という方も結構おられるようです。
 柱稽古編まで進んだアニメも素晴らしい出来ですが、原作マンガもおすすめしたいところです。

 ご存知とは思いますが、原作はすでに完結済。
 なので全巻を通して読むことで、この作品独特の深い世界観を味わえるはずです。

鬼滅の刃 (1-23巻 全巻)

「鬼滅の刃」の魅力について

 鬼滅の刃の魅力について、3点挙げてみました。

1 メインキャラたちの設定が深く掘り下げられている
2 緻密なストーリー構成
3 「人の想いは不滅」というテーマと深みのある世界観

 それでは順に見ていきます。

1 メインキャラたちの設定が深掘りされている

アニメでも、やはりここが大人気となった大きな理由だと思います。
特に主人公の炭治郎、善逸、伊之助の3人が個性的で、決してぶれないのが良い。

メインキャラたちの過去設定もしっかりされている。鬼殺隊の隊員たちの多くは鬼に家族や大切な人の命を奪われるといった悲惨な過去を持っており、鬼への怒り・憎しみは凄まじい。
これは「仇討ち」とも言える。ここに登場人物たちの激しい怒りとエネルギーが込められている。
鬼側も討伐されるが、鬼殺隊員たちも次々と斃れていく。
決してきれい事では済ませない、作品の重いテーマを感じます。

また、柱である悲鳴嶼行冥、不死川実弥、伊黒小芭内、時透無一郎の4人が鬼と関わった過去は、凄絶そのもの。冨岡義勇と胡蝶しのぶも過去に肉親の命を奪われている。

鬼殺隊員たちの覚悟

そして柱をはじめ、鬼殺隊員たちの死をも顧みぬ覚悟。
その覚悟のほどは岩柱・悲鳴嶼行冥の黒死牟戦でのセリフにも表れています。

(一部抜粋)
痣を発現させた悲鳴嶼に対して黒死牟は
「痣の者は例外なく25の歳を迎える前に死ぬのだ」
「お前は25を超えて痣を出した。今宵の内にも死ぬだろう」
と告げます。

それに対して悲鳴嶼は毅然とこう返します。

「何を今さら己が命など惜しもうか。そのような生半の覚悟で柱になるものなどおらぬ」
「甚しき侮辱。腸が煮えくり返る」

引用2

いや、カッコいい。痺れます。
このような姿勢は鬼殺隊トップの柱たちだけではなく、隊員たちも同じ。鬼舞辻無惨との最終決戦では自ら柱たちを守る壁となり、怯むことなく無惨へ立ち向かっていく。
その結果、多くの隊員たちが命を落とすことになる。
彼らは鬼のいない世界を望んでいるが、その世界に自分が残ろうとは思っていないようにすら思え、その覚悟と気迫に心を打たれます。

鬼側にも「悲しい過去」を持つものがいる

一方、鬼の側にも「鬼となった悲しい過去」の設定が見られます。

これに該当する主だった鬼たち

 🔸下弦の伍・累
 🔸上弦の陸・妓夫太郎・堕姫の兄妹
 🔸上弦の参・猗窩座

私も妓夫太郎・堕姫兄妹の最期のシーンには涙してしまいましたが、猗窩座の過去も悲しすぎて心に刺さるものがあります。
主要な敵キャラの悲しい過去を知ることで、物語に一層の深みが感じられます。

2024年7月現在アニメは柱稽古編まで終了し、次の無限城編は劇場三部作と発表されたところ。
猗窩座の過去はネタバレになるのでここでは伏せておきますが、映画館で多くの人が涙することになると予想しています。

敵・味方ともに深掘りされた人物設定が読む人の心を揺さぶる。
この作品が「日本人の心の琴線に触れる」と思う理由です。

鬼滅の刃 (1-23巻 全巻)

2 緻密なストーリー構成

物語は緻密に構成されていて、矛盾や破綻などは見られません。
柱稽古編の後は、ラストへ向かって緊張感を保ったまま一気に話が進みます。
この辺りの構成も見事です。

最後まで無理な引き延ばしもなく、きれいに話を終えたという印象です。

最終巻の最後が主要キャラたちの子孫(転生?)の話になっているのも、続編を作らないという意思の表れではないかと思えます。

物語のポイント・無限列車での任務

引用3

物語の最初の大きなポイントとなるのは、やはり映画化され大人気となった「無限列車編」の部分でしょう。コミックスでは第7巻54話から8巻69話までの話となります。

炭治郎は仲間とともに過酷な訓練を乗り越えながら鬼殺隊で急速に成長していくが、その成長過程で炎柱・煉獄杏寿郎とともに「無限列車」の任務に当たることとなった。
結果、煉獄は猗窩座との戦いで落命してしまうが、一般市民と炭治郎たちの命を守り切った。

 煉獄が最期に炭治郎たちへ想いを託す・つなぐ場面は、この物語の象徴のようでもある。

 また煉獄の生き様は、炭治郎たちに精神面で大きな影響を及ぼします。

 

3 「人の想いは永遠・不滅」というテーマと深みのある世界観

お館様の最期のシーンでの言葉

柱稽古編の最後、鬼舞辻無惨が産屋敷邸を訪れる。
お館様である産屋敷耀哉がわざと招き入れたようだが、ここでの無惨との会話にこの作品の深いテーマが表れている。
産屋敷耀哉は、無惨にこう語る。

「永遠というのは人の想いだ。人の想いこそが永遠であり、不滅なんだよ」

 想い = 魂とも読み取れる。
 人間の肉体はいずれ滅ぶが、想いは不滅。

鬼の始祖である無惨は真逆の思考で、己だけが生き残れば良いとしている。

これまで他の作品の中にも「鬼対人間」という構図はいくらでもありますが、鬼滅のこのシーンには深みのある世界観・死生観が感じられます。
二人が元は同じ一族(血縁)という関係ですが、この対比は何とも皮肉なものです。

屋敷の爆破に妻子を巻き込んだことについて賛否もあるようですが、妻子も承知の上であの場に留まったことが明かされています。まさに産屋敷一族の執念とも言えるでしょう。
結果として、爆破で無惨にダメージを与え肉体の修復までの時間を稼ぐことができ、さらに通称「浅草の旦那」の血鬼術で無惨の動きを一時的に封じたところで、珠世が「鬼を人間に戻す薬」を無惨へ吸収させることに成功。そして”満を持して”登場した悲鳴嶼行冥が無惨の頭部を日輪刀(棘鉄球)で破壊!
(この悲鳴嶼さんの攻撃シーンは原作ではたった数コマですが、アニメでは迫力満点でものすごいことになっていました。アニメスタッフさんたちに感謝!)

お館様はすでに息子の輝利哉へ当主の座を渡し、想いをつないでいました。
輝利哉は父母と姉妹を失った直後から、悲しみに暮れる間もなく鬼殺隊を指揮します。
しかも鬼殺隊は敵地・無限城に飲み込まれて圧倒的に不利な状況です。

この時点で若干8歳の輝利哉が、託された想いに応えようと二人の妹たちとともに奮闘する姿も読者の胸を打ちます。

物語は時に過去を交えつつ展開していく

作品中、過去に亡くなった人やその記憶が炭治郎たちを助けたり、導いたりするシーンがたびたび描かれています。

鱗滝の元で修行していた炭治郎を手助けした錆兎と真菰は、すでに故人だった。
また、炭治郎は遊郭での戦いの後2ヶ月間も昏睡していたが、目覚める直前に「先祖の記憶」のような不思議な夢を見る。
少しネタバレになりますが、鬼舞辻無惨との最終決戦の局面で炭治郎が大ピンチに陥った際、禰󠄀豆子の枕元に父・炭十郎が現れるシーンもあります。
さらにその大ピンチの炭治郎は、また「先祖の記憶」のような夢を見る。その中で謎だったヒノカミ神楽13番目の型のヒントを得る。

こういった描写も「人の想い」を表しているのではないでしょうか。

4 終わりに

『鬼滅の刃』は独特の世界観を持っており、登場人物たちの生き様が読む人の心を打ちます。
多くの人に愛される理由の一つではないかと思います。
話もきれいにまとまっており、まだ原作を読んでいない方にはぜひ読んでいただきたい作品です。
『鬼滅の刃』については今後も少しずつレビューを掲載するつもりです。

鬼滅の刃 (1-23巻 全巻)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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