『お気楽領主の楽しい領地防衛』3巻｜波乱の予感？伯爵家の使者たちの来訪

甲殻亜龍の大群を撃破｜亜人族の出現に伯爵家からの使者の訪問など波乱の予感を含む3巻

甲殻亜龍の大群を撃破｜亜人族の出現に伯爵家からの使者の訪問など波乱の予感を含む3巻

【出典】『お気楽領主の楽しい領地防衛』原作：赤池宗　作画：青色まろ／コミックガルド

ヴァンの村は甲殻亜龍の大群に襲われますが、ディーの見事な指揮と強力なバリスタによって撃退に成功し、村民たちのヴァンに対する好感度もますますアップ。領主として着実に成長して行きます。
本巻では半人半魚の亜人・アプカルルが村に現れ、さらに侯爵家の政敵とも言えるフェルディナット伯爵家から突然の使者が村を訪れるなど盛り沢山の内容となっています。
ヒロイン候補？の新キャラも登場するので注目です。

１　3巻のあらすじ

甲殻亜龍の大群を迎え撃つヴァンたち。生産系魔術で作られたバリスタがその威力を発揮して撃退に成功。そして村を訪れた行商人と商談をまとめて甲殻亜龍の素材を売り、大量の肉は謝肉祭を開いて村民たちと美味しくいただくのだった。
村の治水工事が完成したところでアプカルルのラダ族がヴァンの村に出現。族長の娘がヴァンの婚約者となる？
さらに伯爵家から突然使者がやってきた。騎士上がりの子爵・パナメラと伯爵家の末娘・アルテである。その目的とは？

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２　3巻の新キャラ紹介

【ベル】

【ランゴ】

メアリ商会所属の商人。ベルが兄でランゴが弟。
以前から辺境の村に行商で訪れていた。利益が見込めない「端村」と呼んでいたが、村に城壁ができていることにまず驚く。さらには大量の甲殻亜龍の素材や高品質の武器があることにも驚かされ、ヴァンにより様変わりした村に大きな商機を見出す。

【ラダプリオラ】

半人半魚の亜人であるアプカルル・ラダ族の族長の娘。
まだヴァンと同じ年くらいの子供に見える。水の引き込み工事に伴い村の裏側に湖を作ったところ、そこにひとりで現れた。ヴァンが甲殻亜龍を倒したと聞くと姿を消したが、後日一族と共に再びヴァンの村を訪れる。

【ラダヴェスタ】

アプカルル・ラダ族の族長。ラダ族は甲殻亜龍に住む場所を奪われ、安住の地を探していた。
エスパーダいわくアプカルルはあまり目撃されない種族らしい。ヴェスタ自身も「人間たちと繋がりは持たずに過ごしてきた」と言っているので、人間を避けていたのかも知れない。

【パナメラ・カレラ・カイエン子爵】

フェルディナット伯爵家の派閥の新興貴族。
伯爵家の使者・アルテと共にヴァンの村を訪れた。パナメラは一代で騎士から男爵、そして子爵となっており、相当な実力者であり頭脳も明晰、おまけに美人である。これはヴァンの見立て（笑）。
フェルティオ侯爵家が村を軍事拠点とするためにヴァンを派遣したのではないかと疑っている。
豪胆な性格のようだが、村に入る前に震えていたアルテのことを気遣う様子も描かれている。

【アルテ・オン・フェルディナット】

フェルディナット伯爵家の末娘で、ヴァンより少し年上の少女。ヒロイン候補か？
ヴァンが村に来たことで父から挨拶に向かうよう命じられたのだが、使者としての役目に重圧を感じているのか終始不安げな様子。ヴァンとの会話もパナメラが主に担っており、敵地に入ったと思って怯えているようにも見える。
使者になったのにも何やら事情がありそうだ。

３　3巻の感想と見どころ

バリスタで甲殻亜龍の大群を撃破

ヴァンの総指揮のもと、生産系魔術で作られたバリスタで甲殻亜龍40頭を迎え撃ちます。
その威力は凄まじく、鉄の矢は甲殻亜龍の頭部を貫通し、後方の個体にまで突き刺さるほど。
鉄の矢は数が限られているため代わりに木の矢を使用しますが、これも一発で甲殻亜龍を仕留める威力を持っており、一斉射により敵は全滅。村は一人の死傷者も出すことなく勝利します。
この戦闘シーンの描写は迫力があり見事です！

盗賊たちの後始末

そして甲殻亜龍に追われていた盗賊に対する後始末も描かれます。

命乞いをする盗賊たち。彼らに両親の命を奪われた村民が盗賊を手にかけようとしたところ、ヴァンが冷静に言葉をかけて止める。
この村民はその後、「盗賊たちと同じになるところだった」とヴァンに感謝するのだった。これもヴァンの的確な判断だと言える。

慈悲深いヴァンですが、それも相手によるところ。盗賊たちは行商人へ引き渡すことにします。
彼らには奴隷か縛り首になる運命が待つのでした。その前に大量の甲殻亜龍の解体作業をさせられるのですが、これも自業自得というもの。

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行商人との商談成立

ヴァンの村には以前からメアリ商会の行商人ベルとラルゴの兄弟が訪れていた。
今回も赤字覚悟で村を訪れた二人だったが、神童と呼ばれていたヴァンが辺境の村にいること、そして甲殻亜龍の素材があることに驚く。
ベルは甲殻亜龍の肉が大量にあると知ると、それを買い取りたいと申し出た。
ベルは困窮している隣村に無償で肉を提供しようと考えてのことで、善人であることがうかがえる。ヴァンはベルの考えを見抜いて肉を無償で渡すと言い、これにはベルも感服するしかなかった。

行商人は村にとって貴重な存在。彼らと取引することで甲殻亜龍の素材を売ること、村では手に入らない食材の購入、生産系魔術で作る武器の販売、それに近隣の村や町の情報も得ることができます。
変貌した村をすっかり気に入ったベルたち兄弟。
ヴァンは彼らと商談をまとめ、ベルは村に武器を販売する店を構えることになったのでした。
両者にとってウィンウィンとも言える取引です。

半人半魚の亜人・アプカルルの襲来？

水の引き込み工事に伴って村の裏側に作られた湖に突然アプカルルの少女が現れる。
村民たちの様子を伺っているようだったが、この村で甲殻亜龍が倒されたと知ると少女は水中に姿を消す。ちなみに甲殻亜龍を倒したのはヴァン（のおかげ）ということになっていた。
そして翌朝ヴァンはティルに叩き起こされるw。村の水掘にアプカルルの集団が押し寄せていたのだ。昨日湖に現れた少女は族長ラダヴェスタの娘・ラダプリオラだった。
ラダヴェスタはヴァンを勇者と認め「娘プリオラとの婚姻を認める」と言う。

よくよく話を聞くと、ラダ族は住んでいた川を甲殻亜龍が水場にしたことで住む場所を奪われたとのこと。そんな中プリオラからヴァンが甲殻亜龍を倒したと聞き、村が安住の地になりえると判断して村を訪れたのでした。婚姻はその見返りとして提案したものだったのです。
ヴァンは婚姻の話は断ったうえでアプカルルたちを村へ迎えることにしましたが、ヴェスタもプリオラもヴァンを「婿殿」と呼んでおり、話が通じていないのか聞く気がないのか、はっきりしないままですw。

アプカルルたちは希少な素材を多く持っているということで商人のベルは大喜び、エスパーダも「彼らとの友好関係は大変な幸運」と言っており、村にとっても大きなプラスになりそうです。

伯爵家からの使者・パナメラとアルテ登場

アプカルルたちの受け入れもひと段落し、ヴァンとエスパーダが今後の城塞作りについて検討していたところ、突然フェルディナット伯爵家の使者が来訪したとの報せが入った。
使者の一団は伯爵家とカイエン子爵家も合わせて兵士を100名ほど率いているという。
彼らの目的とは？

ヴァンの部屋を訪れた使者は女性2名という組み合わせで、ひとりはまだ子供。判断に困るヴァン。
もうひとりはカイエン子爵家の当主パナメラで、子供の方は伯爵家の末娘・アルテでした。
パナメラはストレートにヴァンの真意を尋ねます。伯爵家はフェルティオ侯爵家が神童と呼ばれていたヴァンを辺境の村に派遣した真意を計りかねていたのでした。パナメラも侯爵家が村を軍事拠点にするつもりなのでは、と疑っています。
そしてパナメラは「百人程度の小屋しかない村」の変貌ぶりに「少なくとも五千人の部下を派遣したのでは」とヴァンに聞きます。ヴァンは正直に自分は追放されたと話し、エスパーダやディーたちも自主的に着いてきたことを自ら説明するのでした。
それでも村の変貌ぶりに疑念を持つパナメラにヴァンは自分の生産系魔術を使って城壁を作って見せます。今度はその異常な能力に疑念を抱くパナメラに対し、アルテの方はヴァンの「（生産系魔術は）最も不遇な魔術と言われている」という言葉に大きく反応するのでした。

ここで3巻は終了です。

パナメラとヴァンの腹の探り合いは面白く、パナメラはヴァンの領主就任を侯爵家の戦略的行動の一環ではないかと勘違いしているので、ヴァンが思わず吹き出してしまうシーンもあります。パナメラの疑念は払拭されると思いますが、それは次巻へ持ち越しです。
そしてアルテは最初の挨拶以外は口を閉ざしたまま。終始怯えているようにも見える彼女でしたが、ヴァンの適性が生産系魔術だと知り心が動いた模様。
彼女の隠された事情も次巻で明らかになりそうです。

４　最後に

『お気楽領主の楽しい領地防衛』3巻の紹介でした。登場人物も増えて賑やかになった感じです。

ヴァンは行商人とうまく商談をまとめて物流の基盤を固め、困っていたアプカルルたちを村に迎え入れ、村に発展の兆しが出てきたところで突然の伯爵家の訪問。
ヴァンを疑う伯爵家とパナメラをどう収めるのか。そして終始不安げなアルテの様子も気にかかります。次巻の展開も楽しみです。

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