コミカルな冒険者たちと、心の成長を遂げるアルテに注目の6巻
『お気楽領主の楽しい領地防衛』6巻のあらすじ
ヴァンたちが冒険者用の町を作っている中、クサラがセアト村に戻るが、ダンジョン目当ての冒険者たちも着いて来ていた。彼らを迎え入れ、ダンジョン近くの拠点作りに取り掛かるなどヴァンは大忙し。
続いてランゴが人手として奴隷たち150人を連れて村に戻ってきた。ヴァンは奴隷たちを住民として迎え入れ、適性や能力ごとに配置し、騎士団も編成することができた。
そしてヴァンが正式に男爵となって実家から独立したことで、村はますます発展を遂げようとしていた。
そんな中、ヴァンの後押しもあり、アルテは自分の「傀儡の魔術」と向き合うことを決意する。
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6巻の主要な登場人物

【ヴァン】
本編の主人公。フェルティオ公爵家の四男で現在8歳だが、転生者で現代日本ではアラサーのリーマンだった。
魔術適性が役立たずとされる「生産系魔術」だったため、侯爵家から辺境のセアト村へ追放された。
しかしヴァンは膨大な魔力を持っており、生産系魔術を使ってセアト村を城塞都市へと作り変えてしまう。さらに緑森竜討伐の功績により叙爵されて男爵となり、実家からの独立を果たした。

【アルテ】
フェルディナット伯爵家の令嬢で、現在10歳。魔術適性が王侯貴族から忌み嫌われている「傀儡の魔術」だったため、両親から冷遇され臆病で引っ込み思案な性格になっている。
ヴァンの婚約者として伯爵家からセアト村に送られたが、ヴァンはアルテの気持ちを大事にしており、また家同士の問題もあって婚約は今のところ保留状態。
本巻では自分の魔術適性と向き合い、心の弱さを克服しようと動き出す。

【ボーラ】
借金奴隷となっていた元狩人。ランゴがセアト村の人手として買い集めた150人の奴隷たちの中のひとり。「僻地行き」と聞いて絶望していたが騎士として迎えられ、普通の暮らしを与えられて驚くとともに、セアト村への強い帰属意識を持つことになる。

【ティル】
侯爵家時代からのヴァンの専属メイドで、現在18歳。器量よしで気立てもよく、ヴァンを陰から支えている姉的な存在。
セアト村ではインドアでもアウトドアでもヴァンに同行することが多い。

【カムシン】
街で奴隷として売られそうだったところをヴァンに救われ、そのまま侯爵家で雇われた。このためヴァンに強い恩義を感じており、彼を守るため剣の修行に励んでいる。現在10歳。
「盗み」の魔術適性を持つが、まだ魔術を使う場面はない。
表紙のメイドさんがいいキャラしてますw。
同じ異世界ファンタジー物で、主人公が実家から追放&領地経営という共通点もあり、楽しめると思います!
『お気楽領主の楽しい領地防衛』6巻のストーリー展開
第27話『冒険者たち』
ヴァンを中心に冒険者用の新しい村を建設中のところに、クサラがフラミリアを連れて帰ってきた。
ティルとアルテは2人の関係に興味津々で盛り上がるw。そして、少し遅れて一攫千金狙いの冒険者たちも到着し、ヴァンは冒険者たちを建設中の町に迎え入れることにする。
この時、冒険者たちはディーと小競り合いになるのだが、「竜討伐士」のディーに圧倒され、以後は運動部の後輩のように礼儀正しくなるのだった(笑)。
ダンジョン周辺の探索に当たっていたオルトたちが帰って来たところで、クサラがフラミリアを紹介する。そして颯爽と?2人で宿へ向かう様を見て、呆然とする男性メンバーたちw。
彼らは置いておき、ヴァンはプルリエルから報告を受ける。村からダンジョンまでは馬車で1時間、森に入ってから2〜3時間の距離があるという。
そしてヴァンはプルリエルの巧みな話術に乗せられてしまい、ダンジョンの拠点作りに出かけることになるのだった。
第28話『拠点作り』
28話の見どころは冒険者漫才(笑)
拠点作りのためヴァンはティル、カムシン、アルテを連れて、50人の冒険者たちと共にダンジョンへ向かっていた。ちなみにヴァンたち4人は神輿のような箱(ヴァン製作)に乗り、冒険者たちがそれを担いで運んでいるのだった。
森では魔獣も襲ってくるのだが、冒険者の中にヴァンが作った武器を買った者がおり、戦力的には十分。だが「ヒャッハー!」「俺が狩る!」などと、かなりうるさいw。
そしてダンジョン入り口前に到着。入り口は切り立った崖を隔てた向こう側にあった。
崖と崖の間には丸太が無造作に2本掛けられていて、それが橋の代わりらしい。それを見たヴァンは「ストップ! 止まって!」「降ろして!早く!」と叫ぶ。
冒険者たちは怪訝な顔をしながら指示に従うが、ヴァンは心の中で「安全基準守れよ」と突っ込みつつ、怒りを覚える。そして騒ぎに気づいたオルトやクサラも”普通に”対岸から丸太の上を走って駆けつける始末。
ヴァンは冒険者たちに「危険予知とリスク管理」を説くのだが、冒険者たちには意味が通じていないw。ヴァンは生産系魔術で頑丈な橋を作ってみせ、「こうやって安全を確保してから渡るように」と言うと、冒険者たちは「無理だ!」「そんな暇ねぇ!」などとブーたれる。
しかしヴァンが「拠点作ってあげないよ」と言うと、一転して謝罪の言葉が飛び交うのだったw。
ヴァンは拠点作りに取り掛かる。ダンジョン入り口の周囲は岸壁と崖で、ヴァンが掛けた橋までわずかな空間しかない。
悪条件下で難航したものの、ヴァンはわずか4時間で4階建の見事な拠点を作り上げた。そして拠点の管理と冒険者たちへの教育をオルトに任せるのだった。
第29話『奴隷たち』
ランゴが王都から帰って来た。緑森竜などの素材は白金貨180枚で売れたという。そして村の今後のために馬車や馬、人手として借金奴隷150人を連れて来ていた。
また、ヴァンはランゴから自分が正式に男爵位を叙爵されたと伝えられ、実家から独立できたことを喜ぶ。
奴隷たちの中には本来平民より立場が上で、優秀な人材も多くいた。
ヴァンは奴隷たちを適材適所に配置していく。奴隷制度は嫌いだが、人手はありがたいし、ヴァンには「今、目の前にいる人を何とかしたい」という思いがあるのだ。
そしてヴァンが戦闘力の高いグループに向け、「村の騎士として働いてもらおうかな」と言うと、奴隷たちは通常ではあり得ない待遇に涙を浮かべ、肩を震わせていた。
表紙のメイドさんがいいキャラしてますw。
同じ異世界ファンタジー物で、主人公が実家から追放&領地経営という共通点もあり、楽しめると思います!
第30話『心からの笑顔』
ヴァンは奴隷たち約50人を「セアト騎士団」の弓兵部隊とした。その名も「超最強連射式機械弓部隊」(名前長い)。
ヴァンは元狩人のボーラを部隊長にと考えていたが、機械弓の威力に興奮しまくる彼女の姿を見て不安を覚えるw。
結局、ヴァンは弓兵部隊をカムシンに任せるのだった(丸投げ?)。
場面変わって、機械弓を研究するヴァン。隣ではアルテが見学している。
会話の流れでヴァンはアルテの魔術適性について尋ねたのだが、アルテは途端にフリーズしてしまった。それでも勇気を振り絞るように「傀儡の魔術適性です」と答えた。
傀儡の魔術適性は王侯貴族に忌み嫌われているもの。しかしヴァンは笑顔で「ぜひ見せて欲しいな」と言う。アルテがその力を誇れるよう、純粋に手助けしたいと考えているのだ。
そしてアルテは自分の人形を踊らせてみせる。その動きは繊細で、まるで人間が動いているかのように違和感がない。ヴァンはアルテを褒めちぎるのだった。
そしてティルの提案で、ヴァンは「可愛らしいお人形」を作る。
完成したのは長身で、剣と盾を持つ全身ミスリル製の人形。凝りすぎであるw。
これを見たアルテは、泣きながら笑っている。この笑顔を見たヴァンは「初めて心から笑ってくれた気がする」と思うのだった。
第31話『最高の夜』
ヴァンのミスリル製人形を動かしたアルテは魔力欠乏で倒れそうになってしまう。ミスリルを動かしたことで魔力消費が激しかったようだ。しかしアルテは笑顔で「これから何か自分にできることを探そうと思います」と言う。
これまで引っ込み思案だったアルテの前向きな発言に、ヴァンは「傀儡の魔術について一緒に調べよう」と申し出る。
ヴァンは人形をウッドブロックで作り直し、村人たちにお披露目するため野外ステージのような場所に集めていた。
人々の「傀儡の魔術」への差別は根深く、アルテも身をもってそれを理解している。
ゆえに人形の舞を披露することに恐怖心もあるはずだが、アルテは静かに意を決している様子。
そしてヴァンの紹介でアルテが人形を一歩動かすと、村人たちは驚嘆しながらも、やはり「傀儡の魔術」に対して戸惑い、動揺を見せる。
ここでヴァンが助け舟を出してアルテは持ち直し、見事な舞を披露するのだった。
それはそれは、美しい舞!
【引用】『お気楽領主の楽しい領地防衛』6巻 157P〜158Pより
”美しい人形の舞”に村人たちは感動し、大人から子供まで歓声が湧き起こる。大成功である。
アルテがずっと「怖くて悪い力」だと思って、いや、思わされてきた「傀儡の魔術」。
それが今、拍手喝采を浴びている。アルテは大泣きしながらヴァンに抱きつき、「魔術も自分のことも好きになれる気がする」と思いをめぐらせる。
そんなアルテに対してヴァンは「今夜は最高の夜のまま終わらせよう」と思うのだった。
そして最後、何とディーノ王がセアト村に向かっていた!「明日には着く」らしい。
ここで6巻は終了。
まとめ
アルテは恐怖心を克服し、精神的に大きな成長を遂げたと思います。ここは作者さんの描写が本当に素晴らしく、明るい未来が開かれたようで感動的です。
よほどヴァンに会いたかったのか、せっかちな王様です(笑)。
7巻も開始早々に波乱の予感がします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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